ぶろぐ

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DEATH 「死」とは何か を読んで

これまで,死」というものについて考える機会があまり多くありませんでしたが,この本を通して「死」というものをより強く考えるようになりました.今回は,私がこれまでに経験した親戚の「死」を振り返り,これまで「死」をどう感じていたかを見つめ直してから,本書を読んで改めて分かった「死」の側面を書いて終わりたいと思います.

まずは私が経験した死についての概要と,それらをどう感じたか,についてです.
最初の死との出会いは小学生1年の時でした.母方の祖父が,咽頭がんで亡くなりました.亡くなる前から何度かお見舞いに病院に行ってはいましたが,それまでに仲良くしてもらっていた時間があまりなかったこともあり,そこまでの実感がありませんでした.
次は中学2年の時でした.父でした.若干47歳(違うかもしれない,50歳より若かった)という若さで,心不全によって単身赴任先で亡くなりました.友達の家で遊んでいるときに突然母から連絡が入り,急いで家に帰ると父が亡くなった,これから単身赴任先の広島に行く,と言われました.そのときは理解できませんでしたが,なんとなく涙を流しました.向こうに着いてからも,死体と向き合っても,荼毘に付されているときもあまり実感がわきませんでした.父は小さいころから単身赴任していることが多く,とても親密な関係,というわけではなかったのがそう感じた理由かもしれません.ただ何となく,久しぶりに会っていた人にもう会えなくなってしまうのか,そう感じたように思います.
その後は,大学生になってから父方の祖父,母方の祖母が亡くなりました.祖母には,すごく可愛がってもらって,正月のときはほとんど毎年母方の実家に行って,祖母が作るおせち料理を食べたものでした.祖母が危篤状態になったと聞いて,すぐに母と車で駆け付けましたが間に合わず,病院に着いた頃には体はまだ暖かかったにも関わらず動かなくなっていました.このとき最も生と死の境界を感じた気がしました.
死に対する実感はあまり感じられていませんが,こういった死との出会いから感じたことの一つは死はあまりにも自然に,突然にふっと訪れるということです.あまり意識していなくても死は常にすぐ隣にあって,それを避けることはできない,ということです.あまり実感がわいていないからかもしれませんが,なんとなくの,漠然とした恐怖を覚えていたように思います.

以上が私のこれまでの死との出会いから,どう死を考えているかについてでした.要するに,そんなに死について深く考えたことはなかったわけです.そんな私がDEATH 「死」とは何か  を読んで何を感じたか,何を考えたかについて書いていきます.

まず,この本は死とは何かの正解を教えてくれる本ではありません.著者が死についてのさまざま意見を示し,それぞれの立場に立った場合にどう論じられるかを話す.そして最後に著者の意見,著者が信じている意見を述べ,皆さんはどうでしょう,考えてみてください,という本でした.
中でも面白く,心に残ったのは,死と,それに対する「恐れ」の考察についてです.そもそも私は死が私自身に降りかかってくるという実感というものをあまり感じていませんでしたが,何となく怖い,と感じることはありました.それは私の実生活での経験からというよりは,ドラマや映画などで見,感じる死からの感情でした.
この本ではまず「恐れ」が理に適う感情であるとはどういうときか,という話から始めていました.最終的には,死を「恐れ」ることは理に適う感情であるかを明らかにしたいのです.著者は,「恐れ」という感情を抱くことが理に適うための条件は3つあると言っています.それが以下に並べた3つです.

  1. 恐れているものが,何か「悪い」ものである
  2. 身に降りかかってくる可能性がそれなりにある
  3. 不確定要素がある

これらを「死」が満たしているかが議題になります.まずこの3つの条件ですが,具体例は挙げませんが恐れの感情が理に適うための条件として適切のように私も思います.これらの条件を満たさない出来事,ものについては恐れ以外の感情が芽生えるように感じます(怒り,悲しみなど).そもそも「ある感情が理に適う」条件というものの考え方が面白いと感じましたし,これを読んでいるときに理に適わない状況で怒ったり,悲しんだりしていることに思い当たりました.
この本ではこのあと,「死」がこの3つの条件を満たしているのか,はたまた満たしていないため他の感情を生じさせるのが適当なのか,という議論をしています.

このように,死に関するさまざまな議題に対して私が想像していないような方法で,また想像していないような論者の立場になって著者が意見を論じてくれたため,多角的に死についての議論をすることができたと思います.

この本を読んで,「死」について印象が変わった点としては,「死」は何か特別なものなのではなく,他の事象と同じように議論することができるし,私たちも特別扱いせず「死」と接するべきである,ということです.この文章で「」をつけて死を表現していたのも,実は間違っているのかもしれません(まあ今回の主題だからそれはいいか).今後もっと身近な人や私自身が死と出会うことがあったとしても決して臆せず,対峙していければと思います.